酵素で若返り(コレステロール,NAD)

一般的にコレステロールは身体に悪いとイメージする人が多いかもしれませんが、コレステロールは人間が生きていく上でなくてはならない必要不可欠な物質であり、過剰に摂取するよりもあまり摂取しないで不足がちになる方が、実際は弊害が多いと言われています。

 
約60兆個あるとされる人間の細胞の中で、コレステロールは細胞膜の構成成分となっており、血液から運ばれてくる栄養素がスムーズに流れて細胞内に浸透するのを助ける働きがあります。近年おこなわれたアメリカとイギリスの研究結果では、コレステロールが血管を詰まらせて動脈硬化や心筋梗塞を引き起こす要因の1つになっていることが根拠がない説であると証明されており、このことからもコレステロールが身体に悪いというイメージは誤った想像であると理解できるのではないでしょうか。

 
じつは、コレステロールには様々な健康効果があり、たとえばコレステロールは男性ホルモン、女性ホルモンの両方を合成してホルモンバランスを良好な状態にしたり、美肌効果や髪のツヤを作って若返りのきっかけを作ったり、抗酸化物質である「CoQ10」の原料としてガンの予防に役立ったり、ビタミンDを作って花粉症や骨粗しょう症の予防に効果があるなどが挙げられます。

 
逆に、コレステロールが不足することで、貧血や免疫力の低下、動脈硬化・心筋梗塞の原因となったりします。近年では、寿命を延ばす因子として有名な染色体末端にあるテロメアの働きを抑制し、コレステロール不足がテロメア短縮の原因になっているという研究結果もあるようです。
 
テロメアとは?

 

またコレストロール以外にも、若返りやアンチエイジング、寿命を延ばすことに期待がもたれている酵素が、2019年日本とアメリカの研究チームにより発見され、健康寿命を延ばす抗老化法の開発につながる可能性があるとして期待がもたれています。この酵素は、加齢で減少する血液中の酵素「NAD」で、「eNAMPT」と呼ばれる酵素によって体内で合成されます。

 
アメリカのワシントン大学や国立長寿医療研究センターなどのチームがマウスの血液中でこの酵素を分析した結果、6ヵ月(半年)と18ヵ月(1年半)のマウスで調べると、オスで約30%、メスで約70%酵素が減ることが分かり、さらにこの酵素の量が多いほどその時点から長く生存する傾向があることが判明したとのことです。一方、4~6ヵ月の若いマウスからこの酵素を含む成分を取り出し、26ヵ月のメスのマウスに3ヵ月間与え続ける実験では、身体活動が活発になり寿命が16%延びたことが確認されています。

 

(参考文献: テロメア 生命の回数券 / 自由国民社,2017)
 

関連記事一覧